シンポジウム
『後見人が考える「愚行権」~愚かなことをすることも権利~』
(LS新潟県支部)開催のご報告
第1部 基調講演 「成年後見制度の現状と専門職後見人に期待すること」
新潟家庭裁判所判事 廣田泰士
第2部 パネルディスカッション 後見人が考える「愚行権」~愚かなことをすることも権利~
- パネリスト
- 新潟県弁護士会 高齢者・障害者の権利に関する委員会 副委員長 弁護士 大澤理尋
- 社団法人新潟県社会福祉士会理事 社会福祉士 市井栄吉
- 三条市福祉保健部高齢介護課 地域包括支援センター嵐北 主事 片山歩美
- (社)成年後見センター・リーガルサポート新潟県支部 支部長 司法書士 中澤明
- 同 副支部長 司法書士 五十嵐てる子
- コーディネーター
- (社)成年後見センター・リーガルサポート新潟県支部 会員 司法書士 岩井直行
2010年2月11日(木・祝日)新潟県燕三条の燕三条ワシントンホテルにおいて、シンポジウム『後見人が考える「愚行権」~愚かなことをすることも権利~』が開催されました。
第1部では、新潟家庭裁判所廣田泰士判事より『成年後見制度の現状と専門職後見人に期待すること』と題して、基調講演が行われました。
「日本は、他国に比べると少子高齢化の進行速度が速い。」「新潟市で65歳以上の方は18万人程。」など、具体的な数値をあげられて講話が進められました。
「必要書類チェックリストの用意」「書式の統一化」「(新潟家庭裁判所で現在行われている)受理同時審査」など、家庭裁判所でも成年後見制度をより使いやすくする工夫をしている点についても触れられました。申立から後見人等就任までの期間は、2か月以内が64%、4か月以内は88.7%という事ですので、数年前と比べて格段に期間が短縮されている事が分かります。
先日報道された非常に残念な(親族による横領)事件についても触れられました。一般的にみて親族後見人が適当ではないと考えられるケースとして「遺産分割協議を控えている。」「親族間に対立がある。」「本人が多額の負債を抱えている。」「虐待を受けている。または受けているおそれがある。」の他に、「後見人候補者である親族が無職または自営」をあげられていた点が印象に残りました。
第2部では、弁護士・社会福祉士・三条市福祉保健部高齢介護課・司法書士のパネリストより、『後見人が考える「愚行権」~愚かなことをすることも権利~』について、それぞれの立場から、様々な意見が述べられました。
まず、コーディネーターより愚行とは何かについて触れられました。パネリストから個人的な例示として『喫煙』や『考え事をする際にペンをかじること。』などが挙げられました。大まかに言えば「他人から見たら愚かに見える行為でも、本人にとってはとても重要なことで、人にはそれをする権利がある。」という事のようです。
当日定められた論点の1つ目「自己決定権の尊重と本人保護の分岐点」では、『極力両者の調和を目指すべき』という前提で『自己決定権は、後見人の考える社会の客観的福祉に劣後せざるを得ない。』という意見や、『生命や財産侵害とはならず、公共の福祉に反しないならば認めるべきでは。』などの意見が出されました。
論点の2つ目「職業後見人としてのリスクの捉え方」では、「晩酌に付き合ってくれる女性に、自動車を購入してプレゼントした被保佐人に対し、保佐人はどのように対処したら良いか。」という事案が提示され、『一審専属権の問題だから極力介入すべきではない。』という意見や、『これを漫然と放置すれば、保佐人の管理義務違反となりうる。』などの意見が出されました。
大変難しい「愚行権」。『今日は一定の結論を導くのではなく、皆さんに考えていただく機会になれば幸です。』というコーディネーターからの言葉で締められました。
パネリストによる名答・珍答もあり、また某教育番組のように、新潟お笑い集団「なまら」から漫才で討論前に論点が紹介されるという凝った演出も用意され、会場は終始笑い声に包まれていました。

