民法等の一部を改正する法律等の成立を受けて~相続登記の義務化に向けた当会の対応~(会長声明)
2021年4月23日
新潟県司法書士会
会 長 鈴木利益
令和3年4月21日、「民法等の一部を改正する法律」及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が成立した。
遡る平成30年1月19日、「所有者不明土地問題研究会」の政策提言最終報告で、所有者不明土地は、平成28年時点において九州本島の面積を上回る410ヘクタールに及んでいると推計した。衝撃的なニュースとして新聞各紙等のメディアに取り上げられ、これを解決することが喫緊の課題であると国民に広く認知されることとなった。
これを受けて、令和元年6月1日には、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が施行されており、今次の改正により、所有者不明土地の解消へ向けた基本法制が整ったこととなる。
これに関連して、財産管理人制度の活用や入会地に代表される共有者多数の土地の解消などに向けた議論が現在も行われている。
今次の改正により、不動産の所有名義人が死亡し相続が発生した場合、原則として3年以内にその相続登記を申請しなければならないこととなる。また、その義務を履行しなかった場合には、10万円以下の過料が課せられることとなる。
我々司法書士は、国民に過度の負担を強いることとなる相続登記の義務化に対して反対の意見を表明しており、なお相続登記を義務化するのであれば、簡易な方法によりその義務を履行したものとみなす手続きも盛り込むよう強く要望していた。
今次の改正では、この要望に沿い「相続人申告登記」が創設され、国民の負担を軽減する方法として盛り込まれた。
「相続人申告登記」により、登記義務を履行したものとみなされ、過料が課せられなくなったとしても、可能な限り早期に遺産分割協議などを経て相続登記を行わなければならないことに変わりはない。
相続登記の義務化の議論を契機として、日本司法書士会連合会では、相談受付全国統一フリーダイヤル「相続登記相談センター」【0120-13-7832<いさんのなやみに>】を設置し、令和3年3月1日より運用を始めている。
相続登記のみならず、相続全般、遺言など相続に起因あるいは関連する相談の窓口として、是非ご利用いただきたい。
なお、当会では、上記のフリーダイヤルから当会設置の「総合相談センター」へ転送されるので、直接「総合相談センター」へ架電【025-240-7867<なやむな>】していただくことも可能である。
司法書士は、「登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家」として、今後も皆様に寄り添い、より一層質の高い法的サービスを提供できるよう努めて行く所存である。