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民間事業者がインターネット上で行う登記申請書類等の自動生成サービスについての会長声明

2023年3月24日

 近年、司法書士法に規定する登記手続き代理業務や登記申請の添付書類作成業務を実質的に行う「相続登記の代行サービス」、「相続登記の代行を行うWebサービス」及び「それらのサービス事業を提供する業者」などが見受けられます。
 去る令和5年2月21日(火)に開催された衆議院の予算委員会第三分科会(法務省等)において、議員から法務省に対する質疑があり、議員から「これらのサービスの中には司法書士法違反が疑われる事例が散見される」との指摘に対し、政府参考人である法務省民事局長からも「司法書士法に違反するおそれがある」との答弁がなされたところです。
 答弁の趣旨からすると、当該サービスの利用にあたって利用者から入力内容や法的な疑問等に関する問い合わせがあっても、民間事業者はこれに応じること(説明や助言をすること)は違法ですので、一切できません。これは利用者からの質問に安易に答えることで、利用者側に思いもかけなかったり、回復できなかったりする法的不利益を生じることがないよう、あらかじめ保護するためのものです。
 司法書士の資格を持たない者が、業務として登記申請書類を作成することや登記申請書類の作成について相談に応じることは、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(刑事罰)に処せられる重大な司法書士法違反行為です(司法書士法第78条)。
 法令に基づき業として相続登記手続きの代理及び法務局提出書類の作成依頼を受けることができるのは、司法書士及び弁護士のみであり、当会としては、これまでも民間事業者がインターネット上で提供する登記申請書類等の自動生成サービスに注視してきました。
これらサービスの提供等に司法書士法違反が疑われる事案については、調査のうえ刑事告訴等を含め厳正に対処してまいる所存です。
 司法書士は相続の専門家であり、司法書士は、相続登記のみならず法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とし、登記やそれに関連する裁判手続や情報提供を行っております。単に戸籍を収集し、登記申請書類を作成するだけではなく、これら法律事務の専門家として、個々の事案ごとに応じて、また利用者のニーズや予見される将来に応じて、的確適切な説明や助言を行うなど、依頼者とのコミュニケーションを通じながら依頼者に寄り添った対応を心掛けております。
 市民の皆様におかれましては、違法なサービスを利用することで予期せぬトラブルに巻き込まれることのないよう十分お気をつけください。また、自治体の担当者様におかれましては、民間事業者と連携等する際には、司法書士法に違反するサービスでないか慎重にご判断いただき、今後は安易な連携等により市民に違法なサービスを利用させることがないよう十分にご配意ください。

(令和5年2月21日(火)に開催された衆議院の予算委員会第三分科会における答弁の概要)
①民間事業者が、依頼者が入力していない情報を入力したり、依頼者が入力した情報を加工修正するなど、その対応が民間事業者において依頼者に代わって登記申請書類を作成したと評価されるようなものであれば、司法書士法に違反するおそれがある。
②戸籍の記載から法律上の親族関係を読み取ったうえで民間事業者の判断で法定相続人を特定し、その判断を前提として登記申請書類を作成するような場合に、その対応が民間事業者において依頼者に代わって登記申請書類を作成したと評価されるようなものであれば、司法書士法に違反するおそれがある。
③民間事業者が個別具体的な事案を前提に、登記申請書類の作成に関する相談を受けて解答したり、助言したりするなど、その対応が民間事業者において依頼者からの登記申請書類の作成に関する相談に応じたと評価されるようなものであれば、司法書士法に違反するおそれがある。


相続登記に関する相談は無料で対応しております。


新潟県司法書士会総合相談センター
TEL:025-240-7867(なやむな)


日本司法書士会連合会相続登記相談センター
TEL:0120-13-7832

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